イメージと違う
東京都美術館で開催されているムンク展(〜2019/1/20)を見てきました。
個人的な感想を述べると、会場が混んでいたせいもありますが、もう一回は行かなくていいなという感じ。
なんか変に否定的な感想になってしまいますが、まず「叫び」のイメージの病的な感じが、ムンク本人からは全く感じなかったのが大きいです。
下がムンクの写真ですが、どうでしょう?かっこいいイケメンですよね。女性問題も何回か起こしているので実際モテてたらしいし。

それと「叫び」を含む「マドンナ」「接吻」「吸血鬼」は「生命のフリーズ」と名付けられたシリーズであり、積極的に自ら売り出していったらしいです。絵画につける自作の詩などの価値も認識しておりそれを利用していたそうです。
生存中にノルウェーを代表する画家として評価され、80年の人生を閉じています。長命ですよね。
確かに途中神経症を患い精神衰弱状態の時もあったらしいのですが、概して成功した画家人生と言えます。
劣化版ピカソ
作風も色々と変化しており、言うなれば『劣化版ピカソ』なのかも知れません。
ピカソも自己プロデュース力に長けており、自作の価値をかなり釣り上げたらしいです。女好きだし、長生きしたし、作風も何度も変更してますしね。
けれど、ピカソは時代の先端を走るまさに天才と呼ばれるだけの才能があったと思いますが、ムンクはどうでしょう。
確かに絵は上手いし、どの画風もソツなくこなす器用さはあると思います。
けれどみんなどこかで見た画風だし、すごくいいなあと思える作品はあまりありませんでした。
(ちなみに接吻は1890-1891年の制作。クリムトの接吻は1907年制作だからこの場合クリムトの方がパクったのでしょうか。)
確かに一番オリジナリティに富む作品は「叫び」かもしれません。おそらく本人もそれを自覚していたので、「叫び」をメインにして売り出していったのでしょう。

でも実際の「叫び」をよく見るとあまり病的な感じはしませんね。
本当に精神を患っている人の描く絵は、本能的に拒絶したくなるような不安感を伴いますが、この作品にはそれはないと思います。狙って描いているようなところがあります。添えられている詩もあまり良い出来ではないし。
シリーズ化するのは他にどんどんオリジナリティに富んだ作品が描くことができなかったが故の、戦略とも言えるかもしれません。
概して、器用ではあるが決定的な傑作に欠く成功した画家というのが、今回さっと見ただけでのムンクに対する感想でした。
あくまでも僕の個人的な意見なので、もし気分を害された方がいらっしゃったら申し訳ございません。
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