きっかけは知的生産の技術
学生の頃一度読んだのですが、最近もう一度Kindleで読み返したのが梅棹忠夫「知的生産の技術」です。
学生の頃はこの本の影響で京大型カードを買って色々書き込んだり、はたまた英文タイプライターでローマ字日記を書いたりもしていました。
懐かしいです。
アウトライナーDynalistとは
そこから興味が沸いて、しばらく遠ざかっていた知的生産の技術の最近のトレンドをネットで調べて見ました。
そうしてアウトライナーのDynalistを知りました。
このDynalistが何であるかについては他のブログなどが詳しいので割愛しますが、いずれにしてもここ1週間ばかりDynalistを使っています。
Dynalistで出来ること
Dynalistは、特にiPhoneアプリDynawriteの出来が良くサクサク入力出来ます。
日付トピックを毎日作り、それをInboxにして、タスクや思いつきなどなんでも放り込むようにしています。
Dynawriteのテンプレート機能で冒頭に「!(‘y’-‘MM’-‘dd’ ‘HH:mm’)」をつけることで常に日時が挿入できるのも便利でいいです。
この使い勝手の良さからDynalistは「思考の流れを一部分切り取って定着させるツール」だと言えます。
つまり自分の思考・意識を客体化するツールなのです。
自分の思考・意識を客体化するとは、自分の思考・意識を、〈われ-それ〉関係で見れるようにすることです。
疑問点2つ
だけどもここで2つの疑問ができました。
1つは、思考の流れを切り取ると言っても、それはあくまでも表面的なそこの浅い情報ではないだろうかと言う点。
僕がマインドマップで不満なのは、そこの浅い情報が羅列されるだけで無理矢理グルーピングしても、そこの浅い情報の羅列にしかならないと言うことです。
2つ目は、切り取られた思考・意識はその時点で、他の人が言っている情報と同列になる、つまり死んだ情報になるのではないかという点です。
まさに<それ>になってしまうのです。
〈なんじ〉を〈それ〉化してしまうことは人間にとって避けられない。何かを認識せずに,〈われ〉は語ること はできない。加えて,〈われ-それ〉関係では,〈われ〉は世界を固定化することになるため,その〈われ〉の認識 にとっては,わからないもののない安定した世界となるだろう。しかし,そのような安定は偽りの安定である。
たとえ自分の思考全て、世界の情報全てをDynalistに記すことができたとしても、〈われ〉は何も変化しないのではないか。
抜け出すための戦略
そこでその静的な世界・スタティックな世界から抜け出すための戦略として、僕は「垂直方向に伸びるテンプレート」というの試みています。
垂直方向に伸びるテンプレート
・課題を二つ選ぶ
・二つの課題の共通点を考える
・その共通点の構造を考える
・その構造の強さ、弱さを考える
Dynalist等のツールを使う前の状態は、思考が1つの時間軸に沿って流れるだけの言うなれば1次元の世界です。
Dynalistを使うことで、現在の思考とは違う複数の時間軸を扱えることで、現在の思考を相対化できます。言うなれば思考を2次元の世界に拡張するとも言えます。
しかし何も工夫しなければ2次元の世界で生み出される思考はその次元から逃れられません。
〈われ-それ〉関係から逃れられないのです。
そこで1つの試みとして、この「垂直方向に伸びるテンプレート」を使うことによって、自分の思考の構造を見つけ出す訓練をしようと思います。
自分の思考が持っている限定された価値観・バイアスのかかった認識を発見することで、違う次元の知見を得ることができるのではないでしょうか。
そしてここではその発見した知見が重要なのではなく、この訓練を通じ、自分の脳内を組み替え、構造化することで、〈われ-それ〉世界から逸脱し、絶えざる自己の生成を目指して行くことが重要だと思うのです。
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